BHAG(ビーハグ)とは? 遠いビジョンを、挑める目標に変える
BHAG(Big Hairy Audacious Goal)は、ビジョンに向かって10年単位で挑む「社運を賭けた大胆な目標」です。ビジョンや普段の目標との違い、よい BHAG の条件、決め方、BHAG から今年の行動まで逆算する方法を、中小企業向けにわかりやすくまとめました。

BHAG とは
BHAG(ビーハグ)は「Big Hairy Audacious Goal」の頭文字です。
ジム・コリンズとジェリー・ポラスが、長く続く会社を調べた『ビジョナリー・カンパニー』(原著 1994年)の中で示した考え方で、日本語版では「社運を賭けた大胆な目標」と訳されています。
一言でいえば、ビジョンに向かう途中で、10年以上かけて挑む、大胆で、はっきりした目標です。

なぜ BHAG が必要なのか
ビジョンは、今の延長に積み上げて決めるものではありません。会社として本当に実現したい未来を、先に描きます。
そのため、描いた未来と今のあいだには、大きな差があります。差が大きすぎると、
「立派なビジョンはあるけれど、何から手をつければいいか分からない」
「日々の仕事とビジョンが、つながっていない」
という状態になりがちです。
BHAG は、この遠いビジョンを、社員みんなが「あそこを目指そう」と言える、具体的な一つの山に変えます。
山がはっきりすれば、そこから逆算して、途中の節目や、今年やることが決められるようになります。

ビジョン・BHAG・普段の目標の違い
| ビジョン | BHAG | 普段の目標(今年の目標など) | |
|---|---|---|---|
| 何を表すか | 目指す方向と、実現したい未来の景色 | ビジョンに向かう途中で越える、大胆な山 | 今の仕事を前に進めるための目安 |
| 時間 | 長い(終わりがないこともある) | 10〜30年 | 1年前後 |
| 決め方 | 未来から描く | 未来から描く | 今から積み上げることが多い |
| 達成の分かりやすさ | 言葉や景色で表す | 達成したかどうかが、はっきり分かる | 数字などで測る |
コリンズは、会社のビジョンを「変えない芯(理念・価値観・存在意義)」と「描く未来(BHAG と、その実現した姿を生き生きと描いた言葉)」の組み合わせとして整理しています。
ビジョンツリー・キャンバスの「根っこ」と「BHAG」「鮮明な描写」は、この考え方を土台にしています。
よい BHAG の条件
コリンズが挙げている条件を、中小企業向けに言い換えると次のようになります。
- 大胆である:今の延長では届かない。「本当にできるのか」と少し怖くなるくらい。
- はっきりしている:達成したかどうかを、誰が見ても判断できる。ゴールの線がある。
- 説明しなくても伝わる:一度聞けば、社員がすぐに分かり、口にできる。
- 長い時間をかける:10〜30年。1〜2年で終わるものは BHAG ではありません。
- 会社の芯とつながっている:理念や価値観から外れた目標は、どれだけ大胆でも続きません。
よく例に挙がるのが、1961年にアメリカのケネディ大統領が掲げた「この10年のうちに、人間を月に着陸させ、無事に地球へ帰還させる」という目標です。
大胆で、期限があり、達成したかどうかが誰にでも分かる。BHAG の条件をよく表しています。
BHAG の決め方
- 根っこを確かめる:会社が大切にしてきたこと、何のためにある会社なのかを言葉にします。
- 未来の景色を描く:10年後、お客様からどんな言葉を聞いていたいか、社員がどんな顔で働いているか。目に浮かぶ場面を書き出します。
- 候補をたくさん出す:その景色に向かう「大胆な山」を、いくつも挙げます。最初から一つに絞りません。
- 条件に照らして選ぶ:上の5つの条件に合うか、みんなで話し合って一つに決めます。
- 言葉を磨く:短く、覚えやすく、口にしたくなる言葉にします。
社長が一人で決めるより、社員の皆さんと話し合って決めたほうが、自分たちの目標として受け止められます。

BHAG から、今年の行動へ
BHAG は、掲げただけでは動きません。今の仕事までつなげて、初めて力になります。
- 未来から逆算する:BHAG を達成した日から振り返り、「その直前に何ができている必要があるか」「さらにその前は」とたどって、大きな節目を置きます。
- 3年後の姿を描く:節目の流れを見渡して、3年後にどこまで来ていたいかを決めます。
- 今年の重点と合言葉を決める:3年後の姿に向けて、この1年で必ずやることを決め、みんなが口にできる合言葉にします。
こうして、遠い未来から今年までが一本の筋でつながると、「なぜ今年これをやるのか」が、社員の皆さんにも見えるようになります。

ビジョンツリー・キャンバスで、図にしてみる
ビジョン、BHAG、未来からの逆算、3年後の姿、今年の合言葉。
この一本の筋を、1本の木に描いて目で見える形にするのが、ビジョンツリー・キャンバスです。Web で無料でお使いいただけます。


ビジョンツリー・キャンバスについては、遠いビジョンと今をつなぐ道を、1枚の木に。 でもご紹介しています。
社員の皆さんと一緒に BHAG を考えたい、話し合いの進め方を手伝ってほしい、という場合は、お気軽にご相談ください。



